岩手県立大学総合政策学部/三陸沿岸災害復興の総合政策学

市民生活基盤の復興法制研究班

 「市民生活基盤の復興法制研究班」は、主に生活基盤たる土地の利用調整に着目し、東日本大震災の復興過程から今後の災害復興に資する経験を見出し、その継承のため法制化提言を行うことを目的とする。そのため土地所有権、漁業権、知的財産権など物権的権利に関する横断的な構造分析、失権や権利変換を内包する倒産法制等を参考に必要な手続保障の検討を実施し、土地利用調整の法的枠組みを検討する。また、三陸沿岸地域における経験を調査し、今後の農山漁村地域における災害復興法制についての示唆を得たい。

平成24年度

 土地所有権及び漁業権、知的財産権等の物権的権利を概観し、その構造把握、通則的法理の論証を試みると同時に、財の性質による差異を明らかにすることを目的として、各種文献調査を行う。なお、東日本大震災復興特別区域法により、復興整備計画の下で、都市計画が設定されておらず、農業振興地域として農地利用が原則の土地についても、土地区画整理を容認するなど非都市部への一定の対応がなされており、同法についても一定の検討を行っている。

平成25年度

 前年度に引き続き、土地区画整理等の復興時における土地利用調整のあり方を検討するため、土地所有権だけでなく知的財産権、漁業権等の物権的権利全般に係る利用調整や、団体・倒産法制を含めた集団的権利処理手続を定める各法制度の文献調査を行い、いかなる権利―手続保障が考えうるか検討し、論文にまとめる準備を行う。また、土地区画整理、防災集団移転促進等の各計画・事業の現状把握を行いたい。